今話題のホストさんをご紹介する本シリーズ。
今回は歌舞伎町のカルチャーの最先端を行く『NiCK』凰華麗社長にお話をうかがいました!
『NiCK』は業界大手のSmappa!Groupが2024年6月にグランドオープンしたホストクラブ。ネオン調の内装が特徴的です。
そんなグループ・ホストクラブを牽引してきた凰華麗さんは、どんな思いで同店をオープンさせたのか、今後の展望、そして大切にしている「価値観のぶつかり」と「過去を尊重する姿勢」の考えも含めお話をうかがいました。
ホストに漠然と興味がある方も、応募を迷っている方も、ぜひ最後までこの記事を読んでみてくださいね。
■プロフィール |
源氏名:凰華麗 業界歴:15年(※2024年現在) 役職:社長 |
■在籍店舗 |
NiCK(東京都/歌舞伎町) URL:https://hostjob.jp/tokyo/area15/1140/ |
■最高売上 |
年間1億over 月間4500万over |
■経歴 |
・20歳の時に上京 ・歌舞伎町Smappa!GROUPでホストデビュー ・APiTS代表を6年務めた後にプロデューサーへ ・2024年6月にNiCKをグランドオープン |
凰華麗:そうですね。僕は『NiCK』を開店させるまで『APiTS』1本でした。
28歳から6年間代表を勤めましたが、実は売れるまでかなり時間がかかったんです。初めてNo.1になったのは23〜24歳の時。その時に初めて1人暮らしができるようになりました。
ホストを始めたのは20歳の時なので、業界歴は2024年で15年を超えます。初めてNo.1になったのはホストを始めて3〜4年経ってからなんです。
また、No.1になってからめちゃくちゃ売上を立てられたかといわれたらそうではないんですよね。
凰華麗:いやいや(笑)
僕は熊本出身で、今でこそホストクラブはありますが、当時はお店がなくお金を稼ぐにもホストという選択肢はなかったんです。高校卒業後は2年間工場勤務でした。
ただ学生の頃から「ホストをやってみたい」という気持ちはどこかにあって……。工場を辞めて実家に帰った時に、たまたまホストのテレビ番組が放送されていたんです。
その番組を見て「やっぱりホストをやってみよう」と思って、20歳の時に歌舞伎町へ出てきたんです。
凰華麗:そうかもしれません(笑)
ちなみに、僕がテレビで見たホストは「陽生さん」というテレビや雑誌に出ていた元祖ホストアイドル。彼と同じお店で働きたかったのですが、タイミングが悪く休みで……。
その次に目に入ったのがSmappa! Groupで、そのまま面接し体入、入寮しました。
ずっと使っている「凰華麗」という源氏名は入店を決める前に当時の店長が1時間かけて考えてくれたんですよ。
凰華麗:はい!ホスト歴=Smappa! Group歴です。
入店してすぐ『APiTS』の1部にいたので、僕のホスト人生のほとんどはここで過ごしたことになります。
代表を6年務めた後、その座を速水和也に引き継ぎ、僕はプロデューサーになりました。さて、いざプロデューサーの次の道を考えた時に、僕は「2億売る」もしくは「新店舗を出す」の2つしか選択肢がなかったんです。
もちろん自分のお店を持ちたい気持ちはありました。ただプロデューサーといえど経営・運営のど真ん中にはいなかったし……。
プレイヤーをやりたい気持ちもありつつ、経営者にもなりたいという思いがあって、葛藤していたんです。
その葛藤の末、やっぱり新店を出したいという思いが最終的には強くなりました。さらに新店を出すには何か大きく分かりやすいものを成し遂げて、自分に箔をつけないとダメだとも思いました。
その考えから1億を売ったんです。
凰華麗:ええ。自分はプレイヤー歴は長いけれど、社長としてはスロースターターなほうです。周りの同世代のホストたちは僕よりもうんと早く独立して、経営者として頑張っていますね。
これはひとつのコンプレックスでもあります。正直嫉妬もしましたね。
でも『NiCK』に一緒に付いてきてくれた子たちと、新しく入店してくれた子たち、あとこれから入って来る子たちと新しいポジションのホストクラブを作っていきたいと思って今僕も頑張っている最中です。
凰華麗:今歌舞伎町にあるお店に追いつけ起こせをするのではなく、新しいポジションを築いて勝ちにいくイメージです。
そのためにも「自分たちの新しいかっこいいを作りたい」と思って『NiCK』を出店することを決断しました。
凰華麗:おっしゃる通りです。
僕自身、いろんなホストがいたほうが良いと思っています。いろんな人がいるとまとめるのが大変だ、なんて思われるかもしれませんが、あえてまとめなくても良いのかなと。
それよりもいろんな人の価値観や意見をぶつけ合っていくほうが良いお店作りができると思っています。一人ひとりのアイデンティティを守りながら、各々意見をぶつけ合える環境を僕が整えます。ぶつかりながらお店を大きくしていくのが理想です。
それにいろんな価値観に触れ合えるので、自分がさらに大きく成長できる。さまざまな可能性を秘めているのが『NiCK』です。僕もどんなお店になっていくか楽しみですね。
お客様もいろんなタイプのホストがいるので、通っていて楽しいお店になると思います!
凰華麗:そうなんです。実はICCHOとは元々の知り合いではないんですよ。
※ICCHO(いっちょ)…渋谷の古着屋「KODONA」のディレクターやバイヤーとして働く傍ら、ファッションYouTuberとしても活躍する
凰華麗:きっかけは向こうからの連絡だったんです。彼自身、「ホストクラブで働いてみたい」と思っていたらしく、情報収集している中でたまたま引っ掛かったのがうちのお店だったんだそうです。
うちには慶がいますが、古着系の方からの応募は珍しいなって。ICCHO自身、昼は古着屋を経営していますしね。
実際に連絡が来て、1回僕と話してみたいと。僕自身も興味があって話したら、いろいろ考えがマッチしたんです。
ICCHOってこれまで古着屋の経営経験から、プロデュースが好きなんです。それに「ホストクラブで働きながら、ホストたちもプロデュースしてみたい」という気持ちがあったそうで。「ホストの子たちをもっとかっこよくしたい!」っていう熱い思いがあって。
彼のその思いが心にグサッと刺さったんです……!
凰華麗:その通りです!
先ほど申し上げた通り、僕は「自分たちの新しいかっこいいを作りたい」という思いで『NiCK』を出店しています。
新しいかっこいいを発信することで、歌舞伎町の新しいポジションを築く。でもそれって何なんだろうって漠然と考えていたんです。
そこでICCHOの考えを聞いて、「これだ」と。自分が作りたかったホストクラブの曖昧なビジョンがびしっと言語化されたんです。
キャストは洋服のプロからアドバイスがもらえるし、客観的に見た自分がかっこよく見える姿を教えてもらえるわけです。これは『NiCK』の強みのひとつですね。
凰華麗:ええ。
しかもICCHOはやる気がありますし、自分のホストとしての弱点も分かっている。逆に歌舞伎町のホストたちと勝負した時、どこで勝てるかも常に考えている。だから僕はトータルプロデューサーとして迎え入れたんです。
ただ新しい発想を取り入れるにも大事なのは、今まで作り上げた伝統や文化、歴史を理解すること。先人たちが作り上げたものを理解したうえで、新しいものを作らなければならないんです。一気に覆すことはできませんしね。
そんなホスト業界を知ってもらうために、まずはICCHOにもプレイヤーとして働いてもらっています。彼なりにめちゃくちゃ頑張っていますよ。
人が何かに飛び込む時に最初にすべきことは勉強ですしね。
凰華麗:実は明確なビジョンをあえて作っていないんです。
凰華麗:僕自身SNSに慣れるためにYouTubeやらいろんなSNSに触れてみて、いくら僕が「こんなお店にしたい」「めちゃくちゃかっこいいお店だよ」といっても、伝わらないということを学びました。
つまり、そこでビジョンを押し付けるのは違うなと分かったんです。これは店舗経営でも同じことだなと。
『NiCK』に対して思いはあるけれど、明確なビジョンというものはあえてなくし、みんなの「こういうお店にしていきたい」という意見を取り入れながらお店作りをしていきたいですね。
これから入店してくる子たちの意見ももちろん取り入れます。あまりにも反れた意見は別ですが……。人の数だけ考え方があるので、いろんな人の意見は取り入れていきたいですね。
凰華麗:柔軟になろうとしているというのが正しいかな(笑)
意見したい時もありますが、一旦自分の中に落とし込むようになりましたね。
いちプレイヤーとして自分の意思を貫く姿勢は大事ですが、経営者となるとまた別軸の話。
経営者としては勉強の身だからこそ柔軟でいたいと思っています。
凰華麗:正直難しいです。
最初は『NiCK』の立ち上げドキュメンタリーとして考えていました。ただあまり合わず、今は模索中です。
凰華麗:もちろんです。
『APiTS』の代表時代は自分の名前を先に売るのが定石と考えて、いろんな媒体に出て有名になるように努めていました。
ただ『NiCK』の場合は、自分よりもお店を売ることが大切です。これはまだまだ勉強中ですね。
凰華麗:はい。おっしゃる通りです。
ただ、今もし「ホストになりたい」と漠然と思っている方は、目標設定と聞いて少し躊躇してしまうと思います。
最初はなくても大丈夫。やっていくうちに目標をどんどん立てていくのが良いと思います。
僕は1億という目標を立てましたが、僕としては1億を絶対に目指すべきかと問われたらそうではないと答えます。
凰華麗:正直いきなり「億」という目標は危険だと思うからです。
「売れたい」という分かりやすい目標が「億」という数字になってしまいますが、億が売れないからって悪いことではありません。
もちろん自分に数字がついてきて、お客さんの指名本数も増えてきて、順調にステップアップできているなら1億を目標にするのは良いと思います。
年間売上7,000万も見えない数字ではありません。
でも数字に捉われすぎると危ない橋を渡りかねないんです。億プレイヤーが溢れている業界と昨今の情勢を踏まえると、特にそう思ってしまいます。
それよりもまずやるべきこと、人としての常識・マナー・ホストとしての基礎を身に付けたうえで、目標を少しずつ設定するほうが賢明ですね。
小さな成功体験を積み上げていって、ホストとして成長してほしいと思っています。
凰華麗:そうですね。うちはまず店長のtakaが人として当たり前のことを教えて、ホストとしてのスタートラインに立たせてくれます。慶は人としてのマインドの強さを身をもって見せてくれます。
それにいろんなタイプのホストがいるので、学べることはたくさんあると思います。人としても成長できるんじゃないかな。
人にはそれぞれ適した役割があると思っているので、ICCHOの例もそうですし、これからいろんな役割を担う人を揃えていければと思っています。
凰華麗:慶に期待しているのは『NiCK』の核になること。
慶は2023年の年間売上がグループNo.3。でも僕はホストとしてやりきる力と貫き通す根性はグループNo.1だと思っています。
「仕事をやりきる」というマインドが誰よりも強いからこそ『NiCK』の核となってほしいんです。
慶はサラリーマン経験もありますし、仕事との向き合い方のマインドをお店に落とし込んでくれたらうちは歌舞伎町でも強いお店になっていくと思います。
凰華麗:『NiCK』はこれまで自分の人生で培ってきたものも活かせるホストクラブです。
先ほども申し上げた通り、人の数=従業員の数だけいろいろな価値観があります。
僕自身もいろんな考え方を取り入れていきたいと思っているのですが、その考え方ってホスト業界以外で培ったものでも良いと考えています。
もしかしたらホストのキラキラ感に憧れている方にとって刺激が足りないかもしれませんが、『NiCK』ではこれまでのホストとは違う景色を見られると思いますよ!
凰華麗:おっしゃる通りです。
もちろん先人が作ってきたものも大切にしていくべきだと思っています。それを理解したうえで新しいものを創造していく。
そのためにはいろんな人の価値観が必要です。このインタビュー記事を読んでくれている方の価値観もきっと活きると思います。
1人の力では大したことはないので、いろんなホストたちとお店を作っていきたいです。そのためにも僕自身はもっと勉強していきます。
凰華麗:こちらこそありがとうございました。